新規事業失敗時の撤退理由の考察

経済産業省中小企業庁の取りまとめた『中小企業白書2013年版』が、平成25年4月26日に閣議決定され、公表されました。


中小企業白書(2013年版)の発表について



中小企業白書は、その名のとおり、主に中小企業の動向等についてまとめられたもので、法律に基づき、国会に報告するために作成されるものですが、中小企業庁等のWebサイトや出版化により一般公開されています。
ざっと目を通したところ、「新規事業展開がうまくいかなかった場合の中止・撤退」といった興味深いコラムがあったのでご案内させていただきます。
■中小企業の新規事業展開は約半数が失敗している
中小企業白書によれば、過去10年の間に新規事業展開を実施又は検討した企業のうち、およそ半数が失敗を経験しているそうです。
更に、失敗した企業の約8割は何らかの損失が発生し、新規事業の中止・撤退の決断時期が早ければ早いほど損失は抑えられ、遅れれば遅れる程ほど損失は大きくなっているそうです。

■失敗の理由は?
中小企業白書によれば、新規事業失敗が失敗した理由として多いのが 新規事業失敗時の撤退理由
「期待したほどの市場性・成長性がないと判明した」(回答率50.6%)「販路開拓が困難だった」(同42.1%)の2点が極端に多い結果となっています。

これらの原因は、ともに準備と努力の不足に他なりません。
「期待したほどの市場性・成長性がないと判明した」というのは、市場の需要や成長性などのマーケットリサーチや情報収集の実施が不十分であったことが原因です。
また、「販路開拓が困難だった」というのは、十分な販路開拓のための準備や営業が不十分であることが原因です。
では、どうすればこの2つのイイワケをすることなく新規事業を成功させていくことが出来るのでしょうか。
■「市場性・成長性」のリサーチ
既存事業の枠を超えた新規事業への挑戦は、企業自身の存続と成長のための必須要件であり、中小企業であれば尚更のことです。
しかし、大企業に比べ経営体力が小さい中小企業にとって、新規事業の失敗は企業の存続事態を揺るがしかねないリスクでもあります。
新規事業に手を出す際には、十分な市場調査をすべきです。
市場調査(マーケットリサーチ)といえば、ひと昔前には百万円規模のコストが発生するものであり、中小企業が新規事業に手を出すかどうかの判断材料に使うコストとしては考えにくいものでした。
このため、社長さんや営業部長の経験やカンといった非科学的な要素を根拠として、「気合い」で新規事業をはじめる中小企業が多く、新規事業は、2回に1回しか成功できない極めて高リスクなギャンブルとして捉えられることが多いのです。
ところが、最近は中小企業はおろか、個人事業主の副業等にも活用されている「低価格」かつ「短納期」に出来る「インターネットリサーチ」という手法が一般化しており、用意に市場性・成長性へのリサーチをすることが出来るようになりました。
インターネットリサーチにかかる費用は、旧来の電話調査、郵送調査、街頭調査に比べ、10分の1とも言われています。
まずは、お手頃なインターネットリサーチにより大局判断を行い、実際に新規事業をキックオフするのか、更にコストをかけて、より詳細な事前調査を行うのかを検討すべきなのです。
■販路開拓のための行動が重要
そもそも市場性・成長性について、市場調査を行えば、販路開拓が困難ということは、大きく減るでしょう。
ただし、それでもなかなか思った通りに行かないのが新規事業です。
事前リサーチの結果に反して、販路開拓に苦戦することがあるかもしれません。
市場性・成長性があって、良い製品であれば必ず売れるのでしょうか。
決してそうではありません。
しかし、売るための行動さえすれば、必ずしも最高に良い製品ではなくともちゃんと売れるのです。
過去にヒットした製品を振りかえれば、必ずしも良い製品メーカーが市場の勝者とはなっていない現実があります。
例えば、データベースのオラクル、ネットワーク機器のシスコなどは、他にもっと良い製品(メーカー)があったにも関わらず勝者となったメーカー(製品)です。今やモノやサービスは溢れています。製品開発力も重要ですが、販売を軽く見ると在庫の山、閑古鳥に見舞われます。
「良い製品だからいつか売れるはず」と受け身で待っていては、いつの間にか時間が経過し、良い製品ですら、いつしか陳腐化してしまいます。
売れない現実を卑下するのではなく、売るための行動を起こす必要があります。
販路開拓・販売方法が分からないこともあるでしょう。自社で解決できないのであれば、勇気ある投資として、営業に関するアウトソーシングを検討しても良いかもしれません。
製品の善し悪しにかかわらず、「売る」を体現しなくてはならないのです。

では、実際にアクションを起こすにはどうしたらいいのか...コンシェルジュへぜひご相談を。

(参考文献)中小企業白書2013p121~122 コラム2-2-8
市場調査営業代行

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