笑顔の力

 最近、上司が部下に対する指導をためらってしまう話をよく耳にする。

大阪のある会社の社長からこんな話を聞いた。「うちの営業のA課長が部下のB君に、"君はもうちょっと協調性を発揮した方がいいよ"と言った処、彼は"いや、私はここにいる皆と非常に仲がいいんです。
むしろ、そんなことを仰る貴方はパワハラではないですか?"と回答したそうだ。
処が、B君の周囲の人は全員、彼は協調性がないと言っているらしい。残念なことに本人がそれに気付いていない。困ったことだ!」

この話を聞いて、私は、人は他人から苦い忠告を受けてもなかなか素直にうなずかないもの。
むしろ、B君には、当社の仕事力診断BPASSサーベイを受けてもらうのが良いかもしれないと感じた。
というのも、BPASSサーベイは、日頃どのように行動しているかについて本人の自己申告で答えてもらい、その結果が出てくるので、本人が納得せざるを得ないからである。

 ただ、この話にはもう一つ大きな問題がある。それは職場の雰囲気である。
もしこの課がいつも笑いに包まれている明るい職場で、お互いが何でも言い合える環境であれば、上司の軽い忠告も部下は素直に受け止めて改善しようと動き出すのではないか。
一方、職場が暗く、お互いの人間関係がギスギスしていると、上司のほんのちょっとした発言も部下は必要以上に反発しパワハラと責め立ててくるので、上司としてマネジメントが非常にやり難くなってしまう。

 明るい職場にすることは、メンバー全員が心掛けねばならぬテーマであるが、まず上司が率先していつも笑いを絶やさないようにすることが大事であろう。
笑いが魅力的なチームを作り出し、それがそのチームの業績アップに繋がっていくことは間違いない。

 しかし、いつも笑顔を絶やさないということは、そう簡単ではない。
イギリス人は、子供が7歳になった時、「他人と目が合った時は、必ずニコッとしなさい」と教えていると聞いた。
陽気なラテン系の人々と違い、しかめ面となることが多い彼らはその顔が他人を遠ざけてしまうことを知っているからであろう。
笑顔と言えば、全英オープンで優勝した渋野日向子さんが浮かぶ。インタビューでお母さんが彼女に「いつも笑顔でいようね。」と教え、笑顔を作る努力をさせたと語っていた。優勝も素晴らしいが、彼女を一夜にして有名にさせたのは、あの笑顔と思う。

社長も部長も課長も、どんなに追い込まれたつらい状況であっても、いやピンチであればこそ、職場では常に意識して笑顔を保たねばならない。
全く大変な仕事である。

執筆者

企業情報

株式会社ビジネスパスポート

誰にでも起こる現象であると言われるハラスメント。その背景、具体的行為類型、取り組みの必要性・影響、対応の難しさを明確にし予防のために何をしたらよいかなどを詳しく解説し認識を新たにしていただきます。

企業サイト

https://www.bpass.co.jp/

掲載カテゴリ

講師派遣型研修

このコラムに関連するお問合せポータルカテゴリー

パワハラ対策研修

(タグ:株式会社ビジネスパスポート)


このページのトップへ