金融機関(地方銀行/信用金庫)向け勉強会

金融庁公表「平成28事務年度金融行政方針」を受け、金融機関として取り組むべき「情報活用」とは?

金融機関に求められる重要テーマとして、(1)取引先の事業内容や成長可能性を適切に評価し(=事業性評価)、(2)融資や本業支援を通じて地域の企業や産業の生産性を引上げ地域創生に貢献することが考えられますが、情報活用塾では、これら要件を実現するために必要な要素を実践的な取り組み事例も交えながら、銀行内外部情報の効果的活用モデルのあり方を研究すべく年4回のプログラムで運営してきましたが、今回が最終セッションとなります。

11月25日(金)の開催ですが、第三回目に引き続き株式会社HFMコンサルティングの本田代表を講師にお招きし、金融庁から公表された「平成28事務年度金融行政方針」の解説も含め、金融機関として取り組むべき活動方法について「情報活用」という観点から解説していただきました。また、当社が提供する事業所データベース「LBC」等の概要と金融機関における具体的活用方法について当社執行役員 長竹から事例も含め説明しました。講演概要は以下のとおりです。

1.平成28事務年度金融行政方針の概要

平成28事務年度金融行政方針が、10月21日に公表されたが、内容的には前年度の内容を踏襲するものであり、1年間モニタリングした結果、課題となった点を中心に今後対応すべき項目として追加されている。
金融仲介機能の十分な発揮という観点では、地方創生というキーワードが無くなり「日本型金融排除」という新たな表現の下、事業性評価に重点を置いた融資運営が求められている。また、9月に公表された「金融仲介機能のベンチマーク」に関しては、現在当局向けの報告を作成している機関が多いと思うが、当局との会話および対外的な公表情報として活用すると明確に示されており、慎重に対応する必要があるだろう。
金融システムの健全性という観点では、マイナス金利の影響もあり収益力の低下が避けられない現況、新たなビジネスモデルの構築を如何にして実現するかが課題とされている。同時に、外貨建ての資産運用や不動産融資への傾注等によるビジネス天下には注意喚起を促しており、より慎重なリスク対策を講ずる必要がある。

2.金融行政方針に対する情報活用の方向性

先月示した内容の振り返りにもなるが、今回示された「金融行政方針」も踏まえ、地域金融機関の課題と解決すべきテーマをまとめると、事業先数の減少や経営者の高齢化が進むなど外部環境が厳しくなる中、既存の取引先を成長させると同時に、地域内の事業活動を活性化させるべく新たな市場を開拓し、新陳代謝を加速させることで、金融機関としての持続的な収益拡大モデルを実現することが必要ではないか。
従来型の預金を集め、集めた資金を基に融資を行い利ザヤで儲けるビジネスモデルでは成りゆかなくなっている現況を受け止め、新たなビジネスプランを考える必要があるが、キーワードは「事業承継」と「新規創業」の2点になるはずである。そのためにも、金融機関内部に存在する情報だけではなく、外部機関が提供する様々な情報を効果的に活用し、新たな顧客開拓や市場開拓に繋げることが必要である。

3.金融機関内部情報と外部機関情報の適用方法

情報活用という観点から考えた場合、現在の金融機関における利用状況は、利用者と利用目的に応じて体系化されているが、取引している「顧客=お客様」の情報を基に整備、活用することがポイントとなる。金融仲介機能のベンチマークで求められているテーマでも、顧客別に金融機関として何をすべきか=本業支援の実情の開示が求められており、顧客別の情報を目標設定へ適用する場合も含め如何にして活用できるか考えることがポイントになるのではないか。
また、営業活動という観点から考えると、対象となるエリア内の全てのお客様情報を把握するには、銀行内部以外の情報=外部機関であるコスモス情報やLBC事業所情報なども活用する必要がある。特に、ランドスケイプ社の提供するLBC情報や富裕者情報に関しては、新たな気づきを得ることができると同時に、既存顧客のプロファイルの更新・確認にも活用することができる。

4.実効性のある具体的な活用イメージ(ランドスケイプ社のLBC情報を活用して~)

では、金融行政方針や金融仲介機能のベンチマークへの対応という観点から、ランドスケイプ社が提供する情報の活用場面について簡単に説明させてもらう。まずは、最新時点の事業所情報が網羅されているという特性から、営業エリア内の事業所特性の実情把握に活用することが考えられる。次に、新たな事業創造という観点から、川上から川下までのサプライチェーンモデルを業種特性も加味して関連付け、使える情報として活用するこが考えられる。同時に、高齢化が進む中小企業経営者の事業承継や相続対策の一環として、対象先を絞り込むことに活用することも想定される。(以下、個別具体的な情報活用パターンについて解説していただいた)

5.金融機関におけるデータベースの活用事例...株式会社ランドスケイプ 執行役員 長竹克仁 から解説

本田代表が解説した情報活用パターンのベースとなる、LBC事業所情報および富裕層データベースの概要について、ランドスケイプ社から解説。同時に、当該情報を既に金融機関で利用している事例もあることから、個別事例紹介ということで解説しました。

6.総括~まとめ(本田代表)

事業性評価という観点から延べ4回にわたり勉強会を開催してきたが、監督官庁の指導内容の変化も踏まえると、単に融資残高を伸ばすための方法論を考えるだけはなく、取引する企業を如何にして支援するかその本質を考えることが本来の姿であり再認識することが重要であろう。しかし、現在の金融機関の人員等の環境を勘案すれば、全ての先へ対応するには限界もあり、メリハリのある対応を考える必要もある。お客様の特性を加味し「何が求められ・何をすべきか」考えた対応をすべく、持続可能なビジネスモデルを確立する上でも、効率的且つ効果的な情報活用モデルという考え方は重要であろう。これまで説明してきた「情報活用パターン」の考え方を参考にしていただければ幸いである。

\

執筆者

企業情報

株式会社ランドスケイプ

ランドスケイプは、日本最大の企業および消費者データベースを駆使したデータベースマーケティングで顧客開拓・育成を支援するコンサルティング会社です。

消費者9,500万件・企業情報820万件を超えるデータベースをもとに、企業にとって価値のある最適なマーケティング活動を提案します。
さらにそこから導き出された結果を反映し、より精度の高いマーケティングを行い、企業と企業、企業と人、人と人との距離をより近づける新しいコミュニケーション、新しいデータベースのかたちを提案しています。

企業サイト

http://www.landscape.co.jp/

掲載カテゴリ

法人リストCRM

このコラムに関連するお問合せポータルカテゴリー

CRM

(タグ:株式会社ランドスケイプ)


このページのトップへ