10日間で3,400万円!

日本一の山、富士山。
富士山が世界文化遺産登録されたことをきっかけに、今年は更に登山者が増えているそうです。

今年は、富士山の環境保全などを目的として、静岡•山梨の両県では、夏山シーズンの登山者に対して、7月25日から8月3日までの間、「富士山保全協力金」の名称で試験的徴収(1人あたり1000円)を行いました。

入山料の支払いは、任意であるにもかかわらず、10日間でおよそ3,400万円もの額が集まったそうです。

富士山を想う登山者の気持ちが金額になって表れており、日本人が富士山に抱くこの想いは、まさに文化遺産として認められうるべきものであると感じました。

私としては、日本人と美徳と富士山に対する想いに感動した一方で、どうも嫌な予感がしてしまうのです。

特に、
(1)試験的導入で徴収した入山料の具体的使途が決まっていない
(2)徴収方法をどうするのか
という点は、「何だかな...」という感が拭えません。

(1)は、確かに、今年の徴収額を想定することは難しいと思います。
どれ位の人が理解を示してくれ、いくら位集まるのかを試験する意味合いもあったでしょうから。

私自身、環境や美観保全を目的とした入山規制や利用者負担は賛成です。

しかし、具体的な用途が決まっていないとなると話は別です。

両県は、富士山を観光資源として活用しており、観光誘致のための富士山に関連した投資をこれまでも行ってきているはずです。

使途が不明確だと、本来、静岡や山梨が負担すべき費用を、何となく入山者に転嫁しているようにも見えるのです。

また、
(2)については、今年の徴収方法を見ると、
4つの主要な登山ルートの入り口にかなり多くの人員を割いて入山料の徴収を呼び掛けています。
更には、入山者に対して記念の缶バッチを渡しています。

これも(私が捻くれているだけなのかもしれませんが)、もし次年度以降も徴収方法を続けるのであれば、
徴収担当係への日当はどうするのか、その人員を手配したり、集まったおカネを管理するための法人が必要となり、ことによっては、関係行政機関の新たな天下り先となってしまうのでは、と危惧してしまいます。

その後のニュースを見る限りでは、
・トイレ
・登山道、山小屋の整備
に使うことになるだろうという曖昧な方針が示されてはいますが、いずれにせよ両県の協議により決められるそうです。

世界遺産の意義は、登録が目的ではなく、保全することが目的なのですから、目的には共感しますし、大賛成です。
どうか、登山者の良心が裏切られることのないように祈るばかりです。

蛇足ですが、富士山の世界文化遺産登録によって、日本人観光客はもとより、外国人観光客の増加が見込めることでしょう。ツアー等旅行商品やお土産販売機会の増加など、ビジネスに関するチャンスも増えていることは間違いありません。

(タグ:お問合せポータル 廣瀬)


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