金融機関向勉強会。地域活性化にむけた「産官学金労」による具体的な取り組み~地方創生について考える

(2016年10月20日 株式会社ランドスケイプ)

第二回 金融機関様向け/事業性評価機能を高める「情報活用塾」
金融庁は、地域金融を担う金融機関に対し、地域産業の育成と地域活性化を図ることをもとめています。2016年9月15日には、金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標を策定し、「金融仲介機能のベンチマーク」として公表しました。その中でも重要なキーファクターである「事業性評価機能を高める「情報活用塾」と題して全四回のプログラムを展開していますが、9月23日(金)に第二回目を開催しました。今回は、岡山大学 地域総合研究センター 三村教授をお招きし、「地方創生」をメインテーマに岡山県、岡山市を中心とした「"地域発展協議体"の運営」と各市における具体的な取組み事例についてご講演いただきました

1.地方創生。岡山大学の取組みとは?

岡山大学は2011年に就任した森田学長の掲げる「学都構想」の実現を目指し、大学がいかに都市、社会と繋がっていくか、役に立っていくかという視点をもって「産官学民」の連携と協働をすすめている。
2016年10月には岡山の産官学民のトップマネジメント層で構成されている「おかやま円卓会議」を設立した。「おかやま円卓会議」は、トップマネジメト層が業界をこえて、地方創生戦略のビジョンを共有し、ビジョンの実現にむけて人・もの・情報・資金についての相互支援体制を構築するための協議を行っている。

2.地方創生。鍵は「地域発展協議体」の運営

地方創生の鍵は2つある。ひとつは、トップマネジメント層の合意であり、ふたつめは、実際に実務を行なう「現場」の協調体制である。岡山県、岡山市ならびに岡山大学が進める地方創生のポイントは、この現場の協調体制にある。ほぼ2年の時間を要して、おかやま円卓会議を設立する以前の段階で準備団体である「おかやま地域発展協議体」を立ち上げた。この「おかやま地域発展協議体」は、委員長を岡山大学が務めているが、副委員長は岡山商工会議所、岡山県、岡山市、倉敷市、中国銀行、山陽新聞社が務めており、会議運営には、実際に現場を動かす部課長級のスタッフが参加している。岡山県の地方創生は、岡山大学と岡山県、岡山市、倉敷市、そして中国銀行をはじめとする主要企業による理念の共有と協働によって成り立っている。

3.地域創生の4つのテーマ<br>
発展協議会での検討テーマは、グローバルな視座で岡山県、岡山市の創生を行っていくにあたり、大きく①教育、②医療、③技術、④まちづくり、の4つのテーマを扱っている。また、海外の事例(ストラスブール・ポートランド・ピッツバーグ)をベンチマークとして、地域として何をすべきか検討する上で国際連携も視野に入れ検討している。

1)教育
2つの問題に直面している。日本に留学している学生の就職問題と産業の撤退ならびに定年退職による優秀な円熟した技術者の再就職である。毎年何千という留学生が卒業するが、県内事業会社への就職は殆どない。「日本語が上手ではない」という事象を解決する必要がある。また、企業を退職した円熟した技術者や優秀な人材はアジア圏等海外へ流出している。このようなベテランの再就職という課題の解決については、ぜひ銀行をはじめとする金融業界のみなさんにお力を借りたいテーマである。定年退職者の退職金のアドバイザリーをつとめるとともに、リタイア後の再就職という「ライフプラン」の設計まで支援を手がけていくことも検討をお願いしたい。

2)医療
岡山県には、日本赤十字社、済生会病院をはじめとする複数の大規模な医療施設が存在している。この医療施設を中心とした医療インフラサービスを中心市街地だけではなくて、地方や離島まで裾野を広く利用してもらえるような取り組みを進めている。具体的には、少子高齢化の速度が早く、また距離的にも不自由を要することが多い「離島」の自治体や住民とワークショップを重ね、実現に向け課題解決に取り組んでいる。

3)ものづくりと技術
地方創生の取り組みのひとつとして重要なことがある。その土地ではぐくまれてきた「伝統」や「技術」という無形固定資産を次世代に継承していくことだが、後継者がいないという理由から事業閉鎖そして技術の継承が行われないという事象が非常に多く発生している。岡山大学では、ものづくり、技術の継承を各地方自治体それぞれを連携させる、横のネットワークをつくることで解消を目指している。また、日本の技術を渇望する海外、特にASEAN地域との連携を深めているが、金融機関様にお願いしたいことは、事業承継というビジネスプラン策定のなかで企業対企業だけのマッチングでの解消に加えて、地方自治体との連携についても模索をお願したい。

4)まちづくり
「まちづくり」となると様々な要素が絡むが、岡山県では「産官連携」ビジネスを成功させるひとつのポイントとして「産官学連携」を大切にしている。これは、学、すなわち岡山大学を主幹として連携スキームを作るというもので、具体的には、岡山大学が主導で、主な官公庁と民間企業の重要人物に対して協力要請を行なうというもの。金融機関はこのような「情報仲介機能」を兼ね備えている。金融機関は非常に中立性の高い事業会社であり、岡山大学と同じように「産官学連携」ビジネスの成功のきっかけをつくることが可能であると考えている

4.業界との係り、各市における具体的な創生活動

現在、全国でもワークショップ運営が盛んに行われているが、関係者が集まって課題を出し、何をしたらよいのか机上で議論するだけでは効果は出ない。関係者が具体的に連携し、誰かが行動を起こすことが必要となる。岡山県での代表的な取組み事例としては、
・プロスポーツとの連携による地方創生
「おかやまプロスポーツプロモーション研究会」
...スポーツを重要産業と捉え、プロスポーツ(地元民が支えるバレーボールチーム)と商店街の活性化を連携させた企画を立て、都市マーケティングの推進を図っている。

・交通事業者と官学連携による地方創生
「岡山まちとモビリティ研究会」

...既に策定されていた「岡山市の都市交通戦略」をベースに新たな総合計画策定に合わせて、関係者とともに社会実験も含め新たな施策として推進すべく検討をはじめている。

・岡山市、倉敷市、新見市、高梁市、総社市、笠岡市、瀬戸内市、美作市、井原市、津山市、備前市、真庭市での地方創生支援の具体例(...個々の概要を解説いただきました)

5.地方創生。金融機関に求められることとは・・・

各省庁、都道府県、市町村各自治体と分けられている各組織では、情報が分断されてしまっている事が多くある。そのため、地方創生のビジョンの実現にむけて連携することも困難になっている。そこで、ますます重要となってくるのが金融機関の役割である。金融機関には「情報仲介機能」があるが、地方創生の鍵を握るのが、まさにこの「情報仲介機能」である。少子高齢化が進み、人口減少が見えている現代社会において、これまでの右肩上がりの経済成長を前提とした金融サービスは成立しづらいのは明確である。金融機関の皆様にお願いしたいことは、地方企業の活性化の為に何ができうるのか?と模索し、トライアンドエラーを繰り返してほしいとい点である。金融機関には、多くの情報が集積している。是非、その情報を地方自治体そして地場の事業会社に合わせた形で提供をお願いしたい。地方自治体同士、地方自治体と民間企業、そして民間企業と海外/ASEAN企業とのワークショップ運営など多々あるが、効果を出すには苦労もある。地方創生とは、これはビジネスの「出口戦略」、すなわちどの事業分野同士を結びつけるのが発展につながるのか?新たなビジネスモデルをどう確立するかということである。

6.地方創生。取組みと今後の課題とは?

岡山大学の様々な取り組みを紹介した。一つ一つはまだまだ小さい動きだが、私は、5年間地方創生に取り組んできた。しかしながら、地方創生の成功モデルが確立しているとも言えない。また、地方創生において今後どんな動きが主流になっていくか?ということも残念ながら見えていない。しかし、5年間の取り組みを通じて、小さくても各組織間に関わりを持たせることが大事だと気付いた。また、地方自治体、大学、そして民間企業が協力してトライ&エラーを繰り返すことで「ひとすじの光」が見えたような感じもする。地方創生、それは、小さなことを積み重ねながら、成功モデルといえるものを一つでも二つでも作っていくことと考えている。これが、地方創生を軌道に乗せる唯一の方法かもしれないとも感じている。

次回、金融機関様向け/事業性評価機能を高める「情報活用塾」は10月21日(金)に行います。金融機関様が実際に地方創生に繋がる事業性評価による融資業務運営を行っていくに辺り、金融機関としてどのように進めていくべきかを(株)HFMコンサルティング 代表 本田伸孝氏が解説します。

執筆者

企業情報

株式会社ランドスケイプ

ランドスケイプは、日本最大の企業および消費者データベースを駆使したデータベースマーケティングで顧客開拓・育成を支援するコンサルティング会社です。

消費者9,500万件・企業情報820万件を超えるデータベースをもとに、企業にとって価値のある最適なマーケティング活動を提案します。
さらにそこから導き出された結果を反映し、より精度の高いマーケティングを行い、企業と企業、企業と人、人と人との距離をより近づける新しいコミュニケーション、新しいデータベースのかたちを提案しています。

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